二元論とは
二元論とは、物事を二つに分けて見る視点です。
正しい/間違っている。
良い/悪い。
被害者/加害者。
このように、物事を二つに分けて見る。
ここでは、このような見方を「二元論」と呼びます。
では、なぜ私は、執着を解放していくために最初に原理をお伝えしているのでしょうか。
それは、物事をこのような二元論ではなく、構造で見るためです。
なぜ、構造を見る必要があるのか
人は何か問題が起きると、まずは
「どちらが正しいのか」
「誰が悪いのか」
「誰が被害者で、誰が加害者なのか」
という形で、物事を理解しようとします。
けれど、この見方だけで現実を見ていると、囚われのないフラットなものの見方ができなくなります。
執着を解放していくためには、「誰が正しいのか」ではなく、「実際に何が起きているのか」を見る必要があります。
だから私は、実践に入る前に、まず原理についてお伝えしています。
物事を善悪だけで判断するのではなく、原理を使って構造を見る。その囚われのないフラットな見方が、執着の解放につながります。
二元論が原理を歪める
二元論で物事を見ると、構造で見ることができなくなり、本来そこにある原理も歪められていきます。
因果の法則 では、本来、物事の因果は一つではなく、複数のものがつながりながら今の現実をつくっています。
けれど二元論では、「悪い人がいるから問題が起きている」という一つの物語に収めることができます。そうすると、それ以上、因果をたどる必要がなくなります。
つまり、自分の頭で考える必要がなくなり、とてもラクなのです。
正負の法則 では、天秤に偏りが生じると、その偏りを均衡へ戻そうとする働きが起こるということでした。そして、そのとき現れる現実は、ほぼすべてが自分にとって望まない現実です。
けれど、その現実に対して、
「悪いことが起きた」
「運が悪かった」
「相手のせいだ」
というレッテルを貼ってしまえば、そこで思考停止で済みます。
本来であれば自分自身を振り返るきっかけになっていたはずの現実が、ただの「悪い出来事」として処理されてしまえば、人間はとてもラクでしょう。
分離と統合の法則 では、二元論で「どちらが正しいのか」という状態になればなるほど、意識の方向は相手へ向かいます。
なぜ相手はわからないのか。
なぜ相手は変わらないのか。
どうすれば相手を変えられるのか。
そのように相手へ意識を向け続けることは、自分のエネルギーが分離して相手へ飛び続ける状態なので、一見相手のせいにしていてラクなようですが、本人は本当に自分のやるべきことに集中するためのエネルギーを削がれてしまう状態なのです。
天秤崩壊の原理 では、二元論がさらに極端になっていくことで、天秤を均衡へ戻そうとする働きそのものも、無視され続けるようになります。
現実が何度、自分自身を振り返るきっかけを与えても、
「自分は正しい」
「悪いのは相手だ」
という見方の中で、すべてを解釈できてしまうからです。
このように、二元論が強くなるほど、本来そこにある原理の流れから外れていきます。
言い換えれば、大いなる流れとは逆の方向へ向かっていくということです。
原理を見ると、なぜ執着が解放されるのか
では、なぜ原理に沿って物事を見ていくことが、執着の解放につながるのでしょうか。
それは、原理に沿って見ていくことで、絡まり合ったものを、それぞれ本来あるべき位置へ戻していけるからです。
因果の中には、自分から相手へ向かっているものもあれば、相手から自分へ向かっているものもあります。
自分が相手に対して、
怒り。
恨み。
心配。
理解してほしいという思い。
変わってほしいという思い。
そうしたものを向け続けていることもあります。
反対に、相手が自分に対して強い怒りや恨みを持ち、そのエネルギーが自分へ向かっていることもあります。ただし、「相手から向けられているのだから、それは相手の問題だ」という単純な話でもありません。なぜなら、自分自身の行為が原因となって、相手が強い感情を向けていることもあるからです。
だからこそ、誰が悪いのか、どちらが被害者なのか、というところだけで切るのではなく、因果全体を見る必要があります。
どこに因があるのか。
どこに偏りがあるのか。
どこで分離が起きているのか。
誰のエネルギーが、どこへ向かっているのか。
そこを一つずつ見ていきます。
そして、自分のものは自分へ。相手のものは相手へ。自分が向き合う必要のある因果は、自分で引き受ける。相手が引き受けるべきものまで、自分が抱えない。反対に、自分がつくった因まで、「相手の問題だから」と切り離さない。
そうやって、絡まりを一つずつほどき、それぞれを本来あるべき位置へ戻していく。それが、執着を解放していくときに必要な見方です。
そのためには、善悪だけで物事を見るのではなく、原理や構造から見る必要があります。
だからこそ、実践に入る前に、この「二元論」という概念を理解しておくことが重要になります。
そして、実際に絡まりをほどいていくとき、最初に必要になるのが、自分と相手の領域を分けることです。
次は、自他境界線について説明します。
