このシリーズでは、被害者・思考停止・搾取・支配・偽善など、知らず知らずのうちに陥りやすく、執着を生み、人生の幸福度を大きく下げてしまう状態を整理しています。
人は、無自覚のうちに何かに執着し、そのループから抜けられなくなっていきます。自分の立ち位置を問い直し、内省を深めることだけが、結果として幸福につながっていきます。
できていない他人を責めて優越感に浸っても、幸福は積み上がりません。このシリーズでは「自分は今、どこに立っているのか」その問いを持ち、より良く生きるための軌道修正の考え方を提示していきます。
精神性シリーズ↓
精神性を落とす生き方の2つ目です。
今回は、
前回の記事
「人生の被害者ポジション」とは
正反対に見える、
とても分かりやすい悪者の話です。
人を搾取する人。
他人を踏み台にして、
自分の利益だけ持っていく人。
いわゆる、
ハラスメント的な人物像についてです。
ただ、
「こういう悪い行いは
精神性を落とします」
という話だけでは学びになりません。
この記事で伝えたいのは、
そういう人に出会ったとき、
どう心を保つか。
相手に引きずられて
自分まで精神性を落とさないか、
という話です。
搾取ポジションの特徴
このタイプの特徴は、
とても分かりやすい。
一見すると有能で、人当たりもよく、
合理的に見えることもあります。
ですが、その関わり方の軸は、
常に「対等」ではありません。
支配する
このタイプは、
対等な関係を築こうとはしません。
人間関係を、「協力」ではなく、
力関係として見ています。
・誰が上か
・誰が決定権を持つか
・誰が引くか
こうしたことを、常に測っています。
それは露骨な命令とは限らず、
無意識のうちに
主導権を握ろうとする形で現れます。
相手を思いやるそぶりを
見せることもありますが、
それは最終的に、
自分の立場を有利にするための
下準備にすぎません。
思いやりに見せかけた支配です。
成果を持っていく
実際の労力や負担は、
他人に背負わせます。
ですが、評価・成果・責任回避は、
自分のものにします。
人の名前を呼ぶ。
褒める。
心理的な距離を縮める。
こうしたテクニックを使い、
人を動かすことは得意です。
そうして人を
さんざん動かしておきながら、
最後は成果だけを持っていく。
これは、単なるずるさではありません。
「成果は自分のもの。
リスクは他人のもの」
という立ち位置を、
当然のものとして生きている、
ということです。
巧みに、言うことを聞かせる
ここが、一番わかりにくく、
一番厄介なポイントです。
このタイプは、
表向きはこう言います。
・「最終的には君の判断だよ」
・「無理なら断っていいよ」
・「選ぶのはあなた」
一見、相手の自由意志を
尊重しているように見えます。
ですが、実際には、
・断りづらい空気を作る
・責任感や罪悪感を刺激する
・「この関係が壊れてもいいの?」と
関係性を盾に圧をかける
こうした形で、選択肢を奪っています。
つまり、
「選ばせているようで、選ばせていない」。
自由意志を
尊重しているフリをしながら、
実質的にはコントロールしているのです。
一言で言うなら
この搾取タイプの特徴を一言で言うなら、
他人の人生の領域に踏み込み、
その負担や責任だけを
相手に引き受けさせ、
主導権と利益だけを回収する人
です。
搾取ポジションの例
例えば、こんな人です。
普段は、人当たりがよく、
気配りもできるように見える。
「ありがとう」
「助かるよ」
「君がいてくれてよかった」
そういった信頼の言葉をかけながら、
仕事はどんどん人に振っていく。
ですが、
評価につながる場面になると、
前に出てくるのは自分。
成果は自分の手柄として語る。
でも、問題が起きれば、
「それは君が判断したことだよね」
と距離を取る。
部下や同僚が疲弊していても、
それを気遣う素振りは見せますが、
根本的な構造は変えません。
なぜなら、この関係性が
自分にとって都合がいいからです。
相手が不安や責任感から
断れないことを知っていて、
そこに漬け込んだりもします。
そして心のどこかで、こう思っています。
「利用されるほうが悪い」
「断れないほうが悪い」
「弱いのは自己責任」
自分は、
特別なことをしているわけではない、と。
ただ、
そういう世界のルールなだけだ、と。
搾取ポジションの人に対し、どう心を保つか?
では、こうした
わかりやすい搾取ポジションの人に
出会ったとき、
私たちは
どう心を保てばいいのでしょうか。
まず、大前提として
知っておいてほしいことがあります。
このタイプの人は、
「正論」
「善意」
「理解」
では、変わりません。
こちらが
どれだけ誠実に向き合っても、
どれだけ分かろうとしても、
相手はそれを、自分の利益として
利用するだけです。
NG:やってはいけないこと
ですから、ここで
やってはいけないことがあります。
それは、
相手を正そうとすること。
説得しようとすること。
分からせようとすること。
それを始めた時点で
実は、相手の土俵に足を踏み入れ
そこで相撲を取ることになります。
搾取ポジションの人は、
理性や対話ではなく、
世界を「力関係」で見ています。
「話し合い」のはずが、利用される
だから、
話し合おうとするほど、
「利用できる相手」
として、認識されやすくなります。
なぜなら、
このタイプの人にとって話し合いとは、
対等に意見をすり合わせる場ではなく、
相手をどこまで
妥協させられるかを探る場だからです。
誠実に話し合おうとする姿勢そのものが、
「今後もこの関係を保ちたい」
「穏便に済ませたい」
という意思表示になり、
それは彼らから見ると
「押せば引く相手」として受け取られます。
だからこそ、話し合おうとするほど、
利用しやすくなるのです。
対処法:明確な「心の境界線」を引く
ここで、
精神性を落とさないために必要なのは、
相手を悪者にすることでも、
裁くことでもありません。
まずは、
「この人はこの立ち位置なんだ」と、
静かに理解することです。
そして、それ以上近づかない。
必要以上に期待しない。
期待させない。
好かれようとしない。
分かってもらおうとしない。
淡々と、距離を取る。
心の境界線を引くのです。
これが、
自分の精神を消耗させない
精神性を下げない、
最も現実的な対応です。
「何も言わないのは負けでは?」への答え
ここで、こんな声が聞こえてきそうです。
「何も言わずに距離を取るなんて、
負けた気がする」と。
そう言いたくなる気持ちは
わからなくはありません。
ですが、それは負けではありません。
搾取ポジションの人は、
相手を自分の土俵に引きずり込めた時点で
勝ちなのです。
逆に言えば、
そこに巻き込まれなければ、
それだけであなたの勝ちです。
戦わず、迎合せず、静かに境界線を引く。
これは逃げではなく、「選択」です。
主導権があなたにあるということです。
境界線を引いた上で、現実的な対応を取る
ここで、
誤解してほしくないことがあります。
これは、泣き寝入りしろ、
という話ではありません。
まず、心の境界線を引く。
その上で、必要であれば、
現実的な対応を取ることも必要です。
ただし、
心の境界線が引けていないまま、
怒りや恐れに任せて
感情的に動くと、
状況をさらにこじらせやすい。
境界線が引けていれば、
無駄に怒りが湧かず、
冷静に状況を見て、
対処することができます。
例えば、
パワハラ上司が相手であれば、
公益窓口を利用して
是正を求める。
そうした
現実的な選択も取れるようになります。
間違ってはいけないのは、
感情に振り回され、
相手の出方に合わせて
動かされているだけの状態。
これは、自分の意思ではなく、
相手に踊らされているだけの状態です。
それは、
主導権が相手にあるまま、
消耗し続ける立ち位置です。
心の距離を保って現実的な選択を
ですから、
搾取する人にどう対処するか?
いかにして勝つか?
よりも大切なのは、
「搾取される立ち位置に自分が降りない」
ということです。
打ち負かすことではありません。
感情的に対処しなくていい距離を保つことです。
その上で、必要な対応を淡々と取る。
それが、自分の精神性の在り方を、
他人にコントロールされず
自分で守るということです。
分かりやすい悪者だけが、精神性を落とすわけではない
ここまで見てきた「搾取ポジション」は、
分かりやすい悪者です。
露骨に人を利用し、
支配し、踏み台にする。
だからこそ、
距離を取る判断も、
比較的しやすい。
ですが、
精神性を落とす生き方は、
これだけではありません。
もっと厄介なのは、
一見すると正しいことを言っている。
どう見ても、人格者に見える。
そんな立ち位置です。
これが一番、気づかれにくい。
次の記事では、そうした
一見精神性の高い「カリスマ宗教家タイプ」
について見ていきます。
正しさや善意が、
いつの間にか支配や依存に
すり替わっていく構造です。
なぜ、このタイプが
最も見抜きにくく、
最も人を巻き込みやすいのか。
そこを、整理していきます。




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