カバンを失くした事件|自動的に働く調律

②正負の法則

カバンを失くした夫

先日、夫が慌てて家に帰ってきました。

「どうしよう、貴重品の入ったカバンを失くした」

青ざめて、わっと慌てています。

そして、ぶつぶつと何かを呟いています。

「あのとき電話に出なければ……」

「あそこであの行動をしなければ……」

自分の行動への後悔が止まらない様子でした。

私はエネルギーを見てみました。

すると、今回のカバンを失くした出来事は、「調律」の結果だったようです。

調律とは、正負の法則によるものです。

そこで夫に、何か心当たりはないか聞いてみたのです。

すると、見えてきたことがあります。

天秤が傾いた理由

最近の夫は、
仕事が上手くいくよう、
抜かりなく整えることに力を入れていました。

抜けがないよう確認し、
不安が出ないよう整える。

本人なりに、
仕事へしっかりと向き合っていたのです。

一見すると良いことのように見えます。

ですが、
完ぺきに整えようとする状態こそが、
「調律」の原因になります。

私が見ている正負の法則とは、天秤のようなものです。

どちらかに比重が乗りすぎると、
バランスを戻そうとする力が働きます。

バランスとは?中庸シリーズ▼

ページが見つかりませんでした – ゼロの視点

夫の場合、
最近、不安をなくそうとする力が強くなりすぎていました。

確実でありたい。

失敗したくない。

準備不足でいたくない。

そうして不確実性を許容できなくなっていたのです。

その許容できなさが、執着です。

何かを固定しようとする力。

不確実性を排除しようとする力です。

執着が生まれると、何かに比重が乗りすぎて、天秤は傾きます。

夫はまさにその状態でした。

調律の結果、失敗という形で現れる

夫は言いました。

「着々と整っていた。」

「だから最近、気分が良かった。」

「よし、これで大丈夫だという気持ちになっていた」

と。

そして、

「今思えば、気が緩んでいた。」

とも言いました。

正負の法則による調律とは、こんなふうに、

完璧に近づいている気がして、意気揚々としているときに、気の緩みで失敗をする

という形でも現れることがあります。

不安を押さえ込もうとするほど、
思い通りにならない出来事が起きる。

失敗しないように固めるほど、
別の形で不確実性が顔を出す。

人間の精神は、
そのくらいバランスに正直です。

カバンはどうなったのか

一通り、
警察に紛失届を出したり、
クレジットカードを停止するなど、
やることを終えました。

夫は抜け殻のようになっていました。

「財布、鍵、免許証、マイナンバーカード・・・全部入ってたのに」

大事なものが全部入っていたので、
さすがに落ち込んでいました。

ですが私は、
夫の様子を見て、
カバンは見つかるだろうと思っていました。

なぜならば、

今回の出来事は、
夫の中で傾いていた天秤を戻すための調律として、
とても分かりやすかったからです。

もちろん、
他にも調律が必要な要素が重なっている構造であれば、
そのまま見つからないという形になることもあります。

ですが今回は、
私はそういう構造には見えませんでした。

この出来事によって、
夫の天秤は十分に戻っているように見えました。

だから私は、
カバンが見つかると思ったというより、
逆に、このまま失くし続ける因果が見えなかったのです。

だから私は、

「まだある気がするので、一度見に行ってみよう。」

と言いました。

すると夫は、

「バス停の近くで失くしたんだよ。」

「あそこは人通りも多いし、治安も良くないから、もう無理な気がする。」

と言いました。

そうして、
失くしてから数時間後の夕方。

免許証を失くした夫は運転できないので、
私の運転で見に行くことになりました。

すると、

カバンはそこにありました。

夫は、

「あった……」

と、安堵で力が抜けていました。

そして、
カバンの中を見ると、
貴重品は紛失しておらず、
すべて元の状態のままでした。

さらに落ち込む夫

夫は、安心するのもつかの間、
今度は、

「自分が気付かないうちに執着していたなんて・・・」

と落ち込み始めました。

私はその姿をみて、言いました。

「もともと自分は物を失くすし、失敗もする。
そういう人間だと思えば、そんなに落ち込まないでしょ」

「落ち込むのは、自分への期待値が高いのよ」

と。

実は私も最近、
自転車の鍵を失くしていました。

そのとき、

「あー、やっちゃったな」

と思っただけでした。

しばらく出てこなければ警察に届け出しよう
と思っていたら、

後になってポロっと出てきました。

「あら、こんなところに置いてた!」

そう思いながら、

「自分って本当に信用ならないなぁ」

と笑いました。

自分を過信しすぎたり、
自分への期待値が高すぎたりすることも、
天秤を傾ける原因になります。

失敗してはいけない。

ちゃんとできなければならない。

忘れ物なんてしてはいけない。

そうやって完璧で理想の自分を基準にすると、
現実の自分との間にズレが生まれます。

だから失敗したときに、大きく落ち込むのです。

出来た人間じゃない前提で生きる

最初から、

「自分は失敗する」「忘れる」「勘違いする」

そういう生き物だと分かっていれば、
何かが起きてもそこまで落ち込むことはありません。

「最悪のケースを前提に生きる」と言いましょうか。

出来た人間じゃない。

だからこそ、できることがあります。

例えば、

私は家をいつもきれいにしています。

鍵を置く場所を決める。

家の中を整える。

忘れても困らない仕組みを作る。

でも、それは立派な人間だからではありません。

むしろ逆です。

自分は忘れやすいから。

すぐ何がどこにあるのか分からなくなるから。

だから分かるようにしているだけです。

そんな風に、
自分は出来た人間ではない、
その下限をベースに物事を考えると、
天秤のバランスが崩れにくいのかもしれません。

私の「ゼロの視点」

今回この記事を書いたのは、

私が見ている視点を、
実際の生活に絡めてお話ししたかったからです。

崩れたバランスを元に戻すための調律は、
特別な出来事として現れるわけではありません。

むしろ今回のように、
忘れ物をしたり、
気が緩んだり、
思い通りにならない出来事として現れます。

そしてその出来事を通して、
大切な気付きが見えてくるのです。

出来事が問題の本体ではない

今回の夫のケースもそうですが、
本人は、「カバンを失くした」と思っています。

ですが私から見ると、
起きていたのはカバン紛失の問題ではありませんでした。

目の前に起きている現象は、自分に何を見せているのか。

こうした出来事の背景を紐解いていくことが、
大切なのだと思っています。

私が見ているのは、
こうしたシンプルな天秤だけでありません。

人生は、

複数の人が関わり、

それぞれの感情、

それぞれの意図があり、

過去の出来事、現在の状態、

そうした因果が幾重にも重なっています。

そのため、

一見すると複雑で、何が起きているのか分からない。

どこから解いたらいいか分からない。

解決策が見えない。

そんな苦しい出来事もあります。

私はそうした現実を丁寧に理解し、

なぜその出来事が起きているのか、

何に囚われているのかを紐解きながら、

執着を手放していく対話を行っています。

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